今まで、
わかっていても
横において
触れないようにしていたことがあります。
まだまだ
取り扱うには未熟すぎて
畏れ多いものだと思っていました。
4年の時を経て
いよいよ本気で取り扱う覚悟が決まりました。
絹に携わらせていただくことを決めてから
養蚕業の現場に足を運び、
高岡製糸工場へ養蚕・絹産業の歴史を学び
伊勢神宮の神御衣祭(年2回)にも
感謝と御礼と祈願に通わせて頂くようになりました。
取り扱う素材のすべては
その原料から製品になるまでの全工程で
どのような方のお力をお借りしているのか
現場である工場へ足を運んで確認しております。
和妙(にぎたえ)と呼ばれる絹織物の反物と
荒妙(あらたえ)のと呼ばれる麻織物の反物と
針と糸を御料と共にお供えし、
天照大御神の御神威がさらに増すことを願う祭祀です。
神御衣祭に年に2回足を運ぶことをきっかけに
神宮でご縁を頂いた方に
和妙を織る神服織機殿神社(かんはとりはたたどじんじゃ)と
荒妙を織る神麻続機殿神社(かんおみはたどのじんじゃ)へと
ご案内いただいた機会もございました。
カタンカタンとリズミカルに
機織りしている優しく清々しい音色が
今でも思い出すだけで耳に響いてきます。
絹を携わって、麻を知り、学び深めると同時に
2016年にはMen’sのリネンシャツを制作。
麻糸を績む方とコラボ展示会も開催して参りました。
それも、伊勢神宮の祭祀に触れたことで
絹だけでは、片手落ちのように感じ
麻にも携わることでエネルギーバランスが整うと感じたからです。
しかしながら、
麻業界に触れれば触れるほど
と痛感して参りました。
麻の産地として有名な栃木県。
麻農家の育成も行っておられる大森さんの畑に
ご縁をいただきましたのは2018年の6月になります。
法律によって厳しく管理された「種」
麻薬の原料にもなる故に、
ピリッと張り詰める、という言葉では表現しつくせない
ただならぬものを感じましたし
神事に使われる素材である故に
偏った見方でその素材に触れる方々もおられました。
麻農家さんの中でも、
継続していく中で法律に触れてしまわれた方のお話も
耳に入ってきておりました。
海外ではビッグビジネスと注目され始めた時期でしたし
国内では素材の有用性と多様性あって
様々な権力が見え隠れしているようにも見受けられました。
これらのことを肌で感じており
安易に触れる素材ではない、と麻を横において
絹、シルクスカーフブランドとして貫こうと思っていたのです。
それに比べて絹はとっても穏やかで優しい業界でした。
皇室、皇居においても昭憲皇太后が1871年に復興されてから
令和においても引き続き皇后陛下によって養蚕が続いています。
麻のように法律によって管理されていることもありません。
絹という素材の成り立ちのとおり
絹糸に包まれた繭玉の中で
じっくりと自分軸、生き方の方向性、自然と調和した在り方へ整え
成虫として生きる準備をさせて頂いてきたように感じています。
おかげさまで、大きな力に揺さぶられたとしても
揺るがない心を持つことができましたし
多角的に物事を捉え真心と良心をもって
何事にも携われるようになったように感じています。
これからも磨いて参ります。
それは、個展を終えた、というよりは
1つの集大成を迎えた感覚です。
次の制作、作品をイメージすることもできず
スカーフを別の展開へ派生させることも想像できず
次の展示会をこのまま続けることにも
心が動きませんでした。
1つの区切りを迎えて
このまま恵.-megumi-が終わることも
チラチラと脳裏をよぎった程です。
しかし、不思議なものです。
麻に携わりますが
恵.-megumi-として手掛けたいのが
業界の中で全く無い織物というわけではありませんが
どうしてもこうでなければ!という1つのこだわりがあります。
そのこだわりは、
機織り、製造段階で敬遠されていることもあり
業界にない生地・織物というのが現状なのですが、
そこへと思い切って挑戦していくことを決めました。
この挑戦を決めた数日後、
令和の大嘗祭のために織られた
麻織物麁服(あらたえ)を調進した
徳島県吉野川市にある山崎忌部神社へと
導かれご縁を頂き、参拝する運びとなりました。
*2022年10月7日時点で、
機屋さんにお願いをして「こだわり」を表現した試作を
創って頂いています。
機屋さんにも挑戦して頂いて1歩目を歩み初めています。
実は、私のルーツを辿って辿って、、、
両親のルーツを神話に近い時代に遡ると
阿波忌部氏へとつながっておりまして。
麻にまつわる山崎忌部神社へと向かう前日には
父方の氏神様の元神様へご挨拶に参拝することが叶いました。
このルーツに依るものも偶然のような必然に感じています。
オリジナルの生地を創るのは、
既製の織物を購入するのとは訳が違います。
その投資の大きさを知っている故に
今まで、在る素材の中で、納得行くものを選んできましたが
今回は、その投資さえも十二分に理解した上で覚悟して
やる、手掛ける、と何の躊躇もなく、決まっていきました。
そのオリジナル生地の、
素材づくりの究極を追求する中で、
業界として未だ形になっていないことの実現化にも挑戦して参ります!
これは、歴史ある素材に携わらせていただく恩返しとなれたら幸せです。
麻を手掛ける、と決めてから
何を作りたいのか、何を皆さんにお届けしたいのか
どんな形で表現されたら喜びを伝え拡げていけるのか
次々とアイデアが浮かび
この作品たちを展示会でご紹介したくて
展示会会場も決まっていない中で
もう開催が決まっているかのようにワクワクしています。
具体的なお話は、
お伝えできるタイミングがきましたら
ここHP・ブログで記録していきたいと思っています。
絹から麻へ
いいえ むしろ こうです
大いなる流れに乗って
1つ1つのプロセスを大切に進めてまいります。
どうか温かく見守り、応援して頂けますと幸いです。